このケースでは、流体解析ソフトウェアAICFDを用いた軸流ファンのCFDシミュレーションについて紹介します。
AICFDは、圧縮性/非圧縮性流れ、混相流、伝熱、燃焼、放熱といった様々なケースに対応可能なソフトウェアです。
同一GUI上で形状のインポートからポスト処理までのワークフローに対応し、独自のAI機能による高速解析/結果予測をユーザーに提供します。
図1: ソフトウェアGUI
解析の対象となるモデルは、回転ブレード17枚、静止ブレード19枚から構成されています。
軸流ファンのような軸対称なモデルでは解析効率を上げるためにワンピッチの周期モデルとすることが一般的ですが、このケースでは全周モデルを使用した解析を行います。
周期モデルを計算する場合には、外部CADにて形状修正を行って頂き、AICFDにインポートすることで柔軟に設定を実施することが可能です。
図2: モデル全体
回転ブレード | 静止ブレード |
図3: ブレード形状と配置
メッシュモデルには、.msh形式の182万[cells]を使用します。
AICFDでは、内蔵されたメッシュ作成ツール以外にも、OpenFOAM形式, Fluent(.msh), Gmsh(.msh)といった既存メッシュデータを活用することが可能です。
また、ワンクリックでメッシュ情報を確認することができるチェック機能があり、対象のメッシュデータの情報を迅速に確認することができます。
図4: MeshQualityによる確認
今回のシミュレーションには下記表の条件を使用しています。
表1: 解析設定
流れモデル | 非圧縮性 |
乱流モデル | Standard K-epsilon |
時間変化 | 定常 |
作動流体 | Air at 25℃ |
回転数 | 3000 [rpm] |
入口条件 | 流速 |
出口条件 | 圧力 |
シミュレーション実行後は、計算中の残差や指定したパッチ(InletやOutlet)の流量、圧力、速度をモニタリングし、収束状況を確認することができます。
図5: 残差
図6: 回転ブレードのMoment
シミュレーションが完了した後は、同一GUI上でポスト処理を行うことができます。
一般的なコンタ、ベクトル、流線はもちろんのこと、AICFDにはターボ機械向けの豊富なポスト処理機能を兼ね備えています。
圧力コンタ | 断面圧力コンタ |
ベクトル | 流線 |
図7: 各ポスト処理例
AICFDに搭載されたTurboPostは、B2Bや子午面表示に始まり、チャート形式の可視化も行うことが可能です。
Blade to Blade | Meridional |
Blade Loading | Circumferential |
Hub to Shroud | Inlet to Outlet |
Turbo Surface | Turbo lIne |
図8: TurboPostの各種機能
このような一連のワークフローによりAICFDでのシミュレーションは実行と評価が行われます。
ターボ機械を対象とした設定方式、ポスト処理機能が搭載されたAICFDは、設計開発業務への効率的なサポートを実現します。