2022年12月にTCAE 22.10をリリースしました。
日頃よりターボ機械向け解析ソフトウェアTCAEをご愛顧頂き、誠にありがとうございます。
この度リリースするTCAE 22.10は従来の構成である流体解析モジュールTCFD,構造解析モジュールTFEA,最適化計算モジュールTOPT,メッシュ作成モジュールTMESHに加えて、音響解析モジュールTCAAが追加されました。
ライセンス無制限による効率的な解析と幅広いケースに対応できる各種機能により、今後ともユーザー様の設計支援を行っていきます。
・プロジェクト管理方法の変更
プロジェクトの管理方法がディレクトリアプローチに変更となり、ディレクトリ内に関連データがすべて格納されます。
ディレクトリ構成
・GUIの変更
より使いやすく分かりやすいGUIの構成となりました。
ApplyやSaveといった設定中に複数回のクリックが必要なボタンを廃止することで、スムーズにシミュレーションを行うことができます。
GUIの変更
・TCAA: 音響シミュレーション用モジュール
非定常計算結果をもとにした音響解析用モジュールTCAAが追加されました。
Acoustic Analogy(音響アナロジー)をベースとした解析モデルであり、外部流れのケースに使用可能となります。
出力データには、フィルタ処理後の時間信号、音圧レベル(SPL)、パワースペクトル密度(PSD)があり、ブレードにより発生したノイズなどをシミュレーションすることが可能となります。
TCAEの各モジュール
音響シミュレーション結果例
・TCAA: ベンチマークテスト Propeller DJI9450
ドローンプロペラを対象としたベンチマークテストが実施されました。
このケースは実測データに基づくものであり、チュートリアルとしてインストールディレクトリに追加されます。
・TOPT: 新規最適化手法 Direct
最適化計算用モジュールTOPTに新しいアルゴリズムが追加されました。
新規アルゴリズムDirectは、既存アルゴリズムと比較して、大域的最小値が探索可能であり、最適化の分岐が隣接点から近似されるのでロバスト性が高い、というメリットがあります。
・TMESH: SurfaceHookUp
SurfaceHookUpは、STLジオメトリのギャップ(隙間)を修正する機能です。
今回のバージョンアップにて、修正する最大ギャップ値を設定する許容値パラメータが追加されました。
許容値の違いによるギャップ修正の差
・TCFD: 入口境界条件の更新
入口全圧条件の設定時に、不均一な速度を定義することが可能となりました。
入口の流れが面の法線方向と同一ではない場合に適用することが推奨されています。
左: 機能使用(パッチ全体で速度が異なる)、右: 機能未使用(パッチ全体で速度が均一)
・TCFD: 非直交メッシュの数値オプション
非直交メッシュに対する数値スキームが追加されました。
このオプションは高度な非直交メッシュを使用した解析に対して適応することが可能となります。
・高効率遠心圧縮機ステージのベンチマークテスト
高効率遠心圧縮機ステージ(HECC)を対象としたベンチマークテストが実施されました。
解析ワークフローの紹介と実測データとの比較を行っています。
HECCモデルと結果比較データ
・ParaView 5.10.1
TCAE22.10では、GUIのベースをParaview 5.10.1に更新しました。
・クライアントサーバーモードのサポート
ParaViewによるクライアントサーバーモードのサポートが追加されました。
ローカルPCのGUIから、リモートの高性能CPUに直接アクセスすることが可能となりました。
すべてのデータ操作、レンダリング、シミュレーションはリモートCPU/サーバー上で実行されるため、ローカルのラップトップなどから、複雑でハイエンドなCFDプロジェクトを操作することが可能となります。
・Windowsインストールの改善
インストールウィザードが改善され、TCAEのインストールコンポーネントの選択が可能となりました。
改善されたインストールウィザード
TCAEを用いた応用事例については、弊社Webサイトよりご確認下さい。
TCAE 22.10に関するお問い合わせについては、info@fstech.jpまでお願い致します。