TCAE®は、メッシュ作成モジュールTMESH,流体解析モジュールTCFD,構造解析モジュールTFEA,最適化計算モジュールTOPTにより構成されています。今回は流体解析モジュールTCFDに着目して、軸流ポンプのCFD解析について紹介します。
TCAE®は、ライセンス無制限というメリットを生かして、エンジニアの業務効率の向上をサポートします。また、解析設定後にボタンひとつでメッシュ作成から結果レポート作成までを自動実行することができ、GUIとバッチモードの両方に対応しています。
図1:軸流ポンプ
このケースではポンプモデルが360度の周期形状であるため、形状データを周期方向に分割し、計算規模を抑えた解析を行います。
メッシュモデルは、入口領域,回転領域,静止領域,出口領域の4つの領域(コンポーネント)で構成されており、インターフェースを通じて解析領域は接続されます。TCAE®では、各計算領域のことをコンポーネントと称しています。
図2:メッシュモデル
分割形状による解析の利点
このケースではモデルを分割して解析を行いますが、もちろん全体モデルでも解析は可能です。また、TCAE®上では形状データの分割ができないので、CADソフトウェアなどの外部で修正する必要があります。全体モデルの方がロバストであると考えられてはいますが、メッシュ数の削減や計算規模を抑えることによる、計算リソースの調整を行うことが狙いになります。
図3:各領域のメッシュモデル
コンポーネントグラフによる解析モデルのチェック
TCFDで設定されたケースは、コンポーネントグラフと呼ばれる流体の流れを確認する項目があります。コンポーネントがどのような順番で構成されているか、入口出口との関係やコンポーネントごとの接続状況を可視化し、シミュレーションが正常に実行されるかを確認することが可能となっています。
図4:コンポーネントグラフ
シミュレーション設定について
・定常計算、非圧縮性流れ
・作業流体:水、粘度:8.899e-7[m^2/s]
・回転数:294[RPM]
・流量:14[m^3/s]
・インターフェース条件:ミキシングプレーン
・乱流モデル:k-ωSST
・メッシュモデル:ヘキサメッシュ(既存メッシュデータの読み込み)
・セル数:210580
・メッシュ平均y+:100
・計算時間:8[core.hours]
図5:GUI
シミュレーションの実行
シミュレーションは、ユーザー指定の並列数で実行が可能です。制限なしのため、解析規模と計算リソースに合せた設定をすることができます。シミュレーション実行後は、流量,残差,効率,トルク,圧力差などの評価対象をモニタリングすることができます。ユーザーは評価値をモニタリングしながら、収束確認を行うことができ、シミュレーションの終了タイミングを決定します。計算中の結果やhtml形式の結果レポートは、シミュレーション中にいつでも更新することが可能です。
図6:効率計算結果とコンター図
シミュレーション結果の後処理
結果の可視化はParaViewによって行われます。TCAE®では、ターボ機械向けの後処理を行うため、ParaViewに機能拡張をし、"Blade to Blade view"と"Meridional average view"の作成を可能としています。Blade to Blade viewは、ブレード指定高さ位置で変数表示を行い、ブレード表面や周囲の状態を確認することができます。また、Meridional average viewは、周方向平均での子午面表示が可能です。
図7:Blade to Blade view
図8:Meridional average view
このような各機能を活かし、TCAE®ではターボ機械のシミュレーションを効率的に行うことが可能となっています。