遠心圧縮機のボリュートとディフューザーの形状最適化

遠心圧縮機のボリュートとディフューザーの形状最適化

ドイツのダルムシュタット工科大学(ガスタービンおよび航空宇宙推進研究所)では,遠心圧縮機のボリュートとベーンディフューザの自動最適化について研究が行われました。このプロジェクトは、当時ドイツのNUMECA社とターボ機械メーカーであるKompressorenbau Bannewitz GmbH(KBB)の協力のもと進められました。


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形状作成にはCAESES®、メッシュモデル作成とCFD解析についてはNUMECA社の製品が使用されました。CAESES®では、ボリュートの断面形状と面積分布が変化するようなパラメトリックモデルを作成し、ディフューザについては非軸対称にすることで、食い違い角,ブレードねじれ,コード長,ピッチ,回転を変化させるパラメトリックモデルとすることで素早い形状変形を可能としました。


Variation of Diffusor Blades


最適化の目的関数は「等エントロピー効率」であり、遠心圧縮機の全体形状によるCFDシミュレーションによって評価が行われました。また、最適化計算には各ソフトウェアを用いた自動化システムが構築されました。


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このプロジェクトによって遠心圧縮機の性能向上の他に、設計と最適化に関する多くの新しい考察とさらなる知識を獲得することができました。自動最適化による結果は以下のようになりました。


・結果の影響度はディフューザの形状がかなり大きく関係しているが、ボリュートに関しても影響度は高い

・等エントロピー効率:1~4%向上

・全圧:1.45~4.67%向上


結果としてCAESES®を使用することで、少数の設計変数で高品質の形状を得ることができるパラメトリックモデルを作成することができました。結果の通り等エントロピー効率に関しては、適切なパラメトリックモデリングによりボリュートディフューザを同時に最適化することが可能だと判断することができます。CAESES®の持つパラメトリックンモデリング機能は、ターボ機械の複雑な形状に対して最適なツールであると考えられます。