垂直軸風力タービンの空力最適化

このケースでは、垂直軸式風力タービンの最適化計算について紹介します。最適化設計システムCAESES®の開発元であるFRIENDSHIP SYSTEMS社は、メッシュ作成ソフトウェアPointwiseを用いて垂直軸式風力タービンの空力挙動を調査しました。

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FRIENDSHIP SYSTEMS社は、最初の取り組みとしてPointwiseによる自動メッシュ作成をCAESES®と接続し、解析ソフトウェアを含む各ツールを用いて、垂直軸式風力タービンを2Dで最適化するという手法を実行しました。

 

使用した2DのメッシュモデルはもちろんPointwiseで作成されています。調査を進めるにつれ、このケースで最も良いとされたメッシュモデルは、ハイブリッドメッシュであることが分かりました。今回のモデルでは境界層を適切に解くための翼の周りの構造格子と、離れた位置の非構造格子で構成されることとなりました。

 

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CFD解析には、OpenFOAM2.2.0を使用しました。解析モデルでは、回転領域にスライディングメッシュが用いられ、翼周りの乱流剥離を考慮して乱流モデルにはk-ωSSTが選択されました。ソルバーは、0.0001[s]の固定時間ステップを持つpimpleDyMFoamを使用し、インターフェース(解析領域の接続)はCyclicAMIとしました。これらの設定を行い、垂直軸式風力タービンの回転数の種類を2種類としたシミュレーションには約2時間15分かかりました。

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CAESES®は、PointwiseとOpenFOAMのスクリプトを使用して、自動最適化システムによる調査を実行しました。Pointwiseとのソフトウェア接続では、IGES形式の形状データを出力し、Pointwiseスクリプトによるメッシュ作成を実行するというフローになっています。メッシュデータは、OpenFOAM用に出力されたPolymeshファイルであり、このデータは、OpenFOAMとのソフトウェア接続にリンクするように設定されています。

 

最適化計算では、風速10[m/s]、先端速度比0.5の条件で実行されました。設計変数には、ピッチ角,キャンバー,キャンバー位置,翼厚さ,弦の長さが定義されています。このケースではNSGA2アルゴリズムが使用され、最適形状として出力された形状は、COP(成績係数)が26%も向上しました。

 

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この調査では、CAESES®を中心に、オープンソースであるOpenFOAMと商用メッシュ作成ソフトウェアPointwiseを接続して、水力軸式風力タービンの自動最適化システムを構築しました。このケースは、第一ステップとして2Dによる最適化計算が行われましたが、第二ステップとして3Dでの最適化計算が行われる予定です。このようにCAESES®は多種多様なソフトウェアの利点を生かしながら、最適化計算を行い、ユーザーの設計業務のサポート行うことができます。また、自動システムを構築することによるメリットを最大限に生かすことで、業務効率を大幅に上げることが可能であると考えられます。