遠心ポンプの数値解析

CFD SUPPORT社が開発した次世代のCFDシミュレーションツールを紹介します。TCFD^®はオープンソースの利点（永続的、無制限のユーザー、ジョブ、コア、カスタマイズ可能など）と商用コードの利点（プロフェッショナルなサポート、十分にテストされたツール）をうまく融合させることでコスト的にも精度的にも大幅に生産性を向上させたツールです。

TCFD^®は完全自動化されており、ユーザーフレンドリーなGUI上でデータ入力、新しいケースの書き出し、メッシュの作成、ケースのセットアップ、ケースのシミュレーション、結果の評価、結果レポートの書き出しなど、すべてのワークフローを実行できます。当然ながらバッチモードでの実行も可能なため、自動化システムへの統合等も容易に実現できます。

１．データ入力

ある特定のポンプモデルをCFturbo^®で設計しました。CFturbo^®は、ターボ機械のインタラクティブな設計のための強力なソフトウェアです。使用方法が簡単で、設計者は既存の形状をスクラッチからやり直すこともできます。

設計が完了したデータは、CFturbo^®からTCFD^®形式で直接エクスポートされます。stlファイル形式の表面モデルデータと物理条件の入力は、TCFD^®に自動的に引き継がれます。外部メッシュはOpenFOAM®メッシュフォーマットか、MSHメッシュフォーマット（Fluentメッシュ形式）を読み込むことができます。このCFD手法では、モデルがある一定数の領域に分割されていることを意味するマルチコンポーネントアプローチが採用されています。TCFD^®では、各領域は独自のメッシュを持ち、個々のメッシュはインターフェイスを介して情報をやり取りします。

２．メッシュ

今回の場合、ポンプモデルは3つのコンポーネント（吸い込み部/インペラ/ボリュート）に分割されます。各コンポーネントにてそれぞれメッシュを生成します。ここではすべてのメッシュをsnappyHexMeshで自動作成しました。尚、コンポーネントの数には制限がありません。

３．単流路計算

計算メッシュは、インペラ全体のためだけでなく、インペラの単一流路の数値解析のために作成することもできます。単一流路はメッシュ数低減、計算時間短縮の効果があります。

４．境界層メッシュのありなし

ここでユーザは「境界層メッシュ」を追加するかどうかを判断出来ます。境界層メッシュとは壁近傍の速度勾配(速度境界層)を捕らえるために、壁近傍に細かく配置するセルを指します。境界層メッシュの配置により計算精度は向上しますが、計算時間は必然的に多くなります。ターボ機械のタイプによっては、弊社の経験から境界層メッシュを使用しない場合、1％のオーダーで全体効率を過剰に予測する代わりに、計算時間は約40％節約できたという例が存在します。

５．Fine Meshは必要か？

どのCFDシミュレーションツールでも、あるレベルのCFD結果精度に対してどの程度のメッシュ細分化が必要かというのは常に大きな問題です。通常、回転機械では明確な傾向が捉えられており、メッシュ細分化はわずかに高い効率予測精度につながります。

６．メッシュ感度のテスト

実際には、境界層のない粗いメッシュ（CPU時間：4コア*時間/流量ケース）は、境界層を持つ細かいメッシュ（CPU時間：20コア*時間/流量ケース）と同じ結果を得ることができます。最終的に粗いメッシュ計算を用いて境界層効果の欠如を無視することができます。完全自動化されたワークフローでは、多くの感度テストを簡単に行うことができます。

７．コンポーネントグラフ

TCFD^®で作成されたプロジェクトではコンポーネントグラフが表示されます。コンポーネントグラフとはコンポーネントトポロジーの構成を示しており、入口、出口、各コンポーネントがどのようにインターフェイスを介して接続されているかを示します。

８．CFDシミュレーションの実行

シミュレーションは、任意の数の並列プロセッサで実行できます。シミュレーションが開始された直後に、ユーザーはHTMLレポートの重要なすべての値：例えば流量、残差、効率、トルク、圧力差などをモニタリングすることができます。これら実行中のモニタリング値はユーザーにシミュレーション収束の判定、計算時間短縮の可能性を提供します。

TCFD^®で実行されるすべてのシミュレーションは、html形式の独自のレポートが生成されます

９．ターボブレードポストを使ったポストプロセッシング

ParaViewでシミュレーション結果を可視化します。ParaViewはCFDデータを分析するためのすべての標準機能を提供するCFD後処理ツールです。

CFD Support社は、ターボ機械用の後処理機能をParaViewにて拡張開発しました。Turbo Blade PostはBlade-to-Bladeビューや子午面平均を可能にするParaView用の特別な可視化機能です。Turbo Blade Postの詳細なマニュアルはオンラインで入手できます。