2021年9月30日にTCAE 21.09をリリースしました。
日頃よりターボ機械向け解析ソフトウェアTCAEをご愛顧頂き、誠にありがとうございます。この度リリースするTCAE 21.09は従来の構成である流体解析モジュールTCFD,構造解析モジュールTFEA,メッシュ作成モジュールTMESHに加えて、最適化計算モジュールTOPTが追加されました。ライセンス無制限による効率的な解析と幅広いケースに対応できる各種機能により、今後ともユーザー様の設計支援を行っていきます。
TCAE 21.09の主な新機能
・メッシュ細分化領域の視覚化
これまでメッシュ作成後まで確認できなかった細分化領域(refinment region)を領域設定の段階で視覚的に確認することができるようになりました。
図:メッシュ細分化領域の可視化
図:GUI
・Simulation Typeに"closedDomain"が追加
入口境界、出口境界が無い閉空間を解析対象としたシミュレーションが可能になりました。
図:閉空間でのプロペラ解析
図:GUI選択画面
・ペン=ロビンソンの状態方程式が追加
状態方程式にペン=ロビンソンの式が追加されました。TCAEは、スクリプトファイルを使用することでGUI上にない式を用いることも可能になっています。
図:ペン=ロビンソンの式(Peng-Robinson)
・圧力係数とサーフェス物理量の計算
圧力係数とサーフェス上の物理量を計算と評価を行うことが可能となりました。
図:圧力係数の計算設定(Pressure coefficient)
図:サーフェス物理量の計算(Surface quantities)
・双方向流体構造連成によるCHT解析
TCFD(流体計算)による熱結果をTFEA(構造計算)にマッピングし、さらにTFEAによる熱結果を再度TCFDにマッピングすることでCHT解析が可能となりました。それに伴い、TFEAに境界条件の追加,結果データ受け渡し設定のためのGUI拡張が実装されました。
図:CHT解析のフロー
・最適化計算モジュールTOPT
TCAE 21.09より追加されたこのモジュールは、各計算設定した後完全自動で内蔵アルゴリズムによる最適化計算を実行することが可能です。全モジュールが同一GUI上で設定可能であると共に、Pythonスクリプトを用いることでワークフローのユーザー定義を自由に行うことができます。 直感では推定することができないエンジニアリングパラメータ,シミュレーションパラメータの決定に有効なアプローチを提供することが可能となっています。
TOPT活用ケースについて
1.数値計算設定の最適化
メッシュサイズや乱流パラメータといったケーススタディが必要な数値計算パラメータの最適値を取得することが可能となります。例として目的関数の設定を、「実測値 - TOPT計算値 = 最小」という設定にすることで、設計変数に割り当てた不明確な数値計算パラメータが実測に近い値として取得することができます。設定する内容は一般的な最適化手法と同様で、①設計変数と設計空間,②制約条件,③目的関数となります。このように活用ケースのひとつに、CFD計算のサポートツールといった役割があります。
図:TOPTのGUI
計算終了後に自動作成されるHTMLレポートにて、最適化条件の確認が可能であり、GUI上でそれぞれの計算毎のCFD計算結果も可視化可能です。
図:TOPT結果確認
2.形状最適化
既存の3次元形状データをスクリプトファイルを用いることで、形状変更を伴う最適化計算を実行することができます。スクリプトファイルによる形状操作がベースとなっているため、あらゆるケースに対応することが可能になっています。
図:パイプの形状最適化
図:各AOAに対する揚力係数の変化
TCAEを用いた応用事例については、弊社Webサイトよりご確認下さい。
TCAE 21.09に関するお問い合わせについては、info@fstech.jpまでお願い致します。